COLUMNコラム
2022
August
25
イギリスからのハーブ便り

「モダンデザインの父」と呼ばれるウィリアム・モリス

サンダース・ペリー誕生の地、イギリスにまつわる「もの」「こと」を
現在イギリスで暮らすスタッフがご紹介します。

・美しい手仕事の芸術品

皆さんはウィリアム・モリスという人物をご存知でしょうか。

モリスは19世紀を代表するイギリスのアーティスト・デザイナーであり詩人・思想家・社会運動家としてよく知られている人物です。
私は渡英してVictoria & Albert Museumの英国デザイン・工芸史の展示を観たのをきっかけに、彼のデザインやテキスタイルなどに興味を持ちました。

イギリスで良く知られているファブリックとしてすぐに頭に浮かぶのはリバティ柄。
モリスのデザインしたテキスタイルなど一度は目にされたことがあるかもしれません。

イギリスでは18世紀半ばから19世紀前半に起きた産業革命によって大量生産化が進みました。
モリスは労働環境の悪化、低賃金化などの弊害を訴えるとともに、
伝統的な職人技や手仕事の価値観・重要性を取り戻すことを目指し、仲間と共にモリス商会を設立。
(後にアーツ&クラフツ運動と呼ばれる)

シンプルで機能的なデザインを追求し、家具や壁紙、テキスタイル、インテリアデザインの制作を行いました。
日本でも有名なのは植物や自然、鳥などをモチーフにしたテキスタイルです。

彼や彼の仲間たちの芸術品はVictoria & Albert Museumで間近に見ることができますし、
同美術館には彼らがデザインを担当したダイニングルームがあり、カフェとして利用することができます。

また、モリスが少年時代を過ごした家は「ウィリアム・モリスギャラリー」として公開されています。
繊細な柄のデザインや色使いの芸術品を素敵な邸宅内で見た時間は、とても充実したひとときとなりました。
建物内部の窓や階段の造りは惚れ惚れしますし、作品を見ていると彼の情熱やこだわりが伝わってきます。
多くの写真や資料はもちろん、タペストリー、刺繍、タイルなどの工芸品、本のデザインなど充実した展示です。
敷地はとても贅沢な空間で、広い庭を眺めながらお茶を楽しむことができます。

ロンドン近郊には「レッド・ハウス」をはじめ、モリスやモリス商会のデザインに触れることができる場所はいくつかあり、
美しい芸術品を間近に見ることができます。
また、彼がデザインした柄を使ったテキスタイルやティータオル、小物などの商品を普通に目にします。
今から約120~160年前のデザインが現代のインテリアにも馴染むというのは素晴らしいと感じます。

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